10の話

有朋の話

医療チームに参加していた私は、いつも後藤さまに身体の調子や食事のことを
いろいろと聞かせていただきました。
会うたびに、同じことを質問していたので、
私が話しかけることは嬉しいと思っていないだろうと感じはじめました。
病室を訪ねるのを控えたり、少し離れて様子をみることにしたのです。
ところが、有朋で出会った後藤さまは、私にこんなふうにおっしゃいました。
「最近きてくれないから、さみしいじゃない」
後藤さまのその言葉は、非常に素直に私の胸に飛び込んできました。
とても大きな驚きとして伝わったのです。
患者さまが話される素直な言葉をいつも聞かせていただきたいと、
思いをあらたにした出来事でした。

熟成者の清水さまは、私に戦争時代の話をしました。
清水さまは中国へ出兵し、中国人との出会いから、戦争の間違いを感じていたそうです。
「日本のえらい人が馬鹿だったんだなあ」と、清水さま。
私は、教科書では学べなかった歴史を学ぶと同時に、
長く生きてきたかたの奥深さを、ひしひしと感じました。
身体の不自由さや、精神の病気から、たまたま病院やその施設で出会ったかたがたですが、
おひとりおひとりが、過去から現在そして未来へとつながる独自の世界をもっています。
私にできることは、そこに一緒にいて、患者さまや熟成者の想いに触れ、
そのかたの心を感じることなのでしょう。

患者さまや熟成者の笑顔のきれいなことには本当に驚きます。
みなさんのきれいな笑顔に会い、私も心の健康をいただいています。

→精神障害者越谷地域生活支援センター 有朋(ゆうほう)

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