10の話

楽山の話

「どうなさいました?」
ヒーリングクラブフロアでは昼夜を問わず、この言葉が聞こえます。
お部屋の一室で、ラウンジで、ロビーで……。
楽山にはさまざまな事情を抱え、それを向き合い、懸命に立ち上がろうとする
人々が多くいらっしゃいます。
誠実であるがゆえに、ひとりで頑張りすぎたり、まわりに気を遣いすぎていたり。
知らずしらずのうちに疲れが身体だけでなく心にも溜まっていきます。
患者さまは皆、心の優しい人ばかりです。
それゆえに自分の気持ちを抑えがちになるかたもいらっしゃいます。
スタッフはヒーリングクラブフロアで、患者さまの生活の面から治療にいたるまで、
さまざまなお手伝いをします。
そのなかで患者さまのシグナルに気づくことは、
難しいですが、とっても大切なことです。
私たちスタッフは、いつもフロアで患者さまを見守っています。
今日もヒーリングクラブフロアのどこかから
「どうなさいました?」の声が聞こえます。

「今日、散歩に付いてきてもらえるの?」
山田さまの毎朝は、このひと言から始まります。
ご高齢で、もともと足に障害もある山田さまは入院当初から杖をつかって歩いておられました。
口数も多くはなく、静かなかたと思っていました。
最初はお部屋にこもりがちでしたが、
だんだん運動プログラムや気功に参加するようになり……、
退院間近には、杖がなくても歩けることが多くなってきました。
いつのまにか、フロアを歩きながらスタッフに対しても、
「よおっ!」と元気に話しかける姿が定番となっていました。
お散歩が大好きだった山田さま。
私たちもよくお声がけをして、一緒に楽山周辺を歩かせていただきました。
これはスタッフのひそかな楽しみにもなっていました。
現在、山田さまは退院されていますが、
ときどき「懐かしいなぁ」と近況報告のお電話をくださいます。

→ 心療内科病院 楽山(らくざん)

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